2018年5月20日
ポポロクロイス物語シリーズの最新作「ナルシアの涙と妖精の笛」がリリースされてから約2週間が過ぎました。そりゃあもう、家に帰ってはスマホの画面とにらめっこ、電車の中でもにらめっこと非常に濃厚な時間が続いたのは言うまでもありません。メインストーリー、サイドストーリー、ブレイブストーリーや船団戦、ガチャ、キャラの育成やアイテム合成に至るまで一通りのことはじっくりと済ませたので、今作について思うところを記します。こうなればいいなぁと感じる部分はいくつかありますが、否定的な感想は全くない、非常に前向き・ポジティブ・肯定的な内容ですのであしからず。
そもそもガチャを搭載したソシャゲである点について
これまでのポポロと今作との最大の違いは、コンシューマー機とスマートフォンというプラットフォームの違いに加えて、いわゆる“ソシャゲ”であるということ、色々なソシャゲで物議を醸しているガチャのシステムが組み込まれていることでしょう。この2点に関して、否定的というか拒否感を示す意見はイロイロと目にします。特に後者。ハードの違いはさておくにしても、ポポロを課金ゲームにしてしまうなんて・・・!と。ガチャ=課金であるのは間違いないですが、それでは課金しなければ今作を楽しむことはできないのか?まずはその点について触れます。
結論から言えば、課金が必須となる状況は今のところゼロです。ストーリーを進めていればガチャに必要なアイテムは自然と入手できますし、ログインボーナスや毎日1回の無料ガチャでキャラを集めることはできます。キャラには、ノーマル(N)、レア(R)、スーパーレア(SR)、ダブルスーパーレア(SSR)の4種類があり(あくまで現時点。いずれはウルトラレア(UR)が入ってくると思います)、レア度に応じてその強さが変わってきます。
では、レア度の高いキャラを集めなければゲームを進めることはできないのか?答えはノーです。メインストーリーやサイドストーリーを進めていくと敵も次第に強くなっていきますが、別にSRやSSRのクラスでなくても、しっかりとレベルアップをしていけば全く勝てずに先に進めないということにはなりません。レベルアップに必要な素材、攻撃力や防御力等を上げるアイテムを作成するのに必要な素材も、きちんとクエストをこなしておけば課金せずとも集められます。キャラクターの個々のエピソードを見ることができるブレイブストーリーも、レア度に関係なくそのキャラを入手さえしていれば解放されます。「このキャラのエピソードを見たければSSRのカードを引いてください」などという課金を煽るような要素はないです。ただし、10月以降に新たに導入されたキャラ(小さな物語シリーズのガボ、エレナとナグロ、メイン14章の配信時に追加されたニスフィとカレン)については、SSRを引き当てないことにはそのキャラのブレイブストーリーを見られなくなってしまいました・・・。また、海の舞闘祭やヴァルアス杯の順位戦が行われる船団戦は、有効な戦術を持つSSRのキャラをどれだけ多く持っているかが重要となるため、船団戦を本気で勝ち抜こうとすると、ガチャを頑張る必要があるかもしれません。
物語を進めるにしても、キャラのエピソードを見るにしても、アイテム素材を集めるにしても、APという行動ポイントが必要となり、これがゼロになると何もできません。こう書くと「だからソシャゲはイヤなんだー!」という声が聞こえてきそうですが、5分ごとに1ポイント自然回復しますし、ゲームを進めていると経験値と同じ感じで、自分のランク(キャラクターのレベルではなく、プレイヤー自身の数字)が上がり、その都度APが全回復することを考えると、課金アイテム使って回復しなければ二進も三進もいかないという状況には陥りません。とにかく急いでストーリーを見たいとか、お目当てのアイテム素材をゲットするために何度も素材集めのクエストを繰り返したい、ということになると話は別ですが、そうしたこともなく物語を楽しむためにマイペースで遊ぶ限りは大きな障害になることはないと言えましょう。
色々書きましたが、手短に言えば、「課金しなきゃ遊べない」というのは全くの間違いです。むしろ、「無料でこれほど遊べるようにしてあるけど、採算的に本当に大丈夫なんだろうか?」と不安を感じずにはいられず、正直なところ、今作を継続するのに必要であるなら多少の課金はしてくれてもいいのにと申し訳なく思うほどです。ポポロに限った話ではありませんが、スマホのゲームは無料が当たり前、という風潮はいかがなものかと思います。
ポポロクロイス物語シリーズの一翼として
課金云々という外面的な要素はさておき、肝心要の内容についてです。「ソシャゲだと、これまでの作品のように壮大な物語を描くのは難しいんじゃ・・・」という意見があります。確かに今作は、コンシューマー機のように街の中を歩いて色んな人の話を聞いて回ったり、フィールドやダンジョンの中でモンスターと戦ってレベルを上げていく、というプロセスはありません。基本的には、戦闘を間にはさみながら、3Dアニメーションとともに流れるテキストを読み進めるという形態であるため、ゲームと言うよりは、小説の派生版とも言えるかもしれません。だからと言って内容が薄っぺらいとかそういうことは全くないです。
ピエトロ、ナルシア、白騎士とガミガミ魔王のお馴染みの4人組が中心となって進むメインストーリー、メインで描かれる出来事の背景や舞台裏を描くサイドストーリー、そして両方のストーリーに出てくる総勢50人以上の様々なエピソードを語るブレイブストーリーの3つによって今作の物語が紡がれるわけですが、一編一編の細かな話が積み重なって複雑に絡んでゆく状況はもうほんとうにファンとしてたまらない内容ばかりで、ネタバレになるので細かいことは書きませんが、特にメインストーリーの第4章の凄さといったらもう!で、嬉しいやら懐かしいやら熱いやらで、こんな場面を見られたんだったら、今作をプレイした価値は十二分にあったと、いや、まだまだこれから続くので今の段階で過去形にするのもなんですが、ポポロ好きならこれを見ずしてどうする?!と、ピノン世代になって、ピエトロ世代の方が良かったとか、ピエトロとナルシアが結ばれるまでの道のりを見たいと少しでも思ったことがあるなら、知らないまま終わってしまったら本当にもったいない大切な物語です。コンシューマー機じゃないことも、ソシャゲになったことも、キャラのデザインが変わったことへの不満も、そんなことはひとまず横に置いておいて、今作の物語にぜひとも触れてほしいと思います。
さらにはブレイブストーリー。お馴染みの4人組のほかに、鬼面童子、ジルバにレオナ、メル、タモタモやロビンといったこれまでの作品のメンバーに加えて、「今までこんな人いなかったよね?」というのも含めて非常に多くのキャラが登場します。メインやサイドストーリーで登場すると、どんな人物なのか今一つつかめなくて思い入れしにくいところがありますが、ブレイブストーリーで個々の性格やら行動原理等を知ると、一気に愛着が深まるんですよね。例を挙げると、最初にビョルクを見た時は、「なんか凄いイロモノが現れた」なんて思ったものですけど、戦闘時の掛け声聞いて、ブレイブストーリーを見たらやたらと気に入ってしまい、限界突破を重ねた末にレベルを上限まで上げてしまったほど。
だから、このブレイブストーリーは決してメインとサイドのおまけ、ではなく、立派な3本柱の一つと言っても過言ではないでしょう。新キャラでもそんな感じなわけですから、ポポロ2から3年が過ぎた従来のポポロのメンバーのエピソードの破壊力は凄まじいです。多くは語りませんが、レオナのあの様子を見て悶えない人は絶対にいないんじゃないかと(笑)。ガミガミ魔王のぶれない姿とか、ピエトロに未練を残しつつも、ナルシアとの仲を応援していないわけじゃないジルバだとか、今作が出なければ絶対に知ることができなかった、色んなキャラの様々な一面を見られるというのは本当に懐かしくも嬉しくもあることです。
ブレイブストーリーを見るには、それぞれのキャラが冒険を重ねてエピソードレベルというものを上げていく必要があり、結構その道のりは長いかもしれませんが、歩かずにはいられないです。これについても、課金の必要がないのは言うまでもありません。
ということで、締めくくってみると、
プラットフォームがスマホになろうとソシャゲになろうと、物語はしっかりとポポロしている、と自信を持って断言します!
ゲーム性について
モンスターとの戦闘は基本的にオートです。見てるだけで終わる場合がほとんどです。それじゃあプレイヤーは何もする必要はないのか?と言えば決してそうではなく、自分よりレベルの高い敵やボスと戦う場合などは、オートではなく、自分で攻撃するタイミングを図る必要があります。必殺技を適時適切に発動し、敵に攻撃力アップや体力回復のチャンスを与えることなく、自分が有利に戦えるよう戦闘の流れをコントロールしないと、戦闘の勝利条件を満たすことができず、アイテムを取り逃してしまう場合も少なからずあります。とは言え、9割以上はバトルを見ているだけなのは間違いないので、モンスターとの戦闘にゲーム性を求めるのはちょっと厳しいものがありますね。もっとも「ゲーム性がないならポポロはやらない!」という人はそれほどいないんじゃないかと思いますが・・・。
ただ、戦闘は、物語と物語の間に唐突に入ってきますし、話の流れ的には一騎打ちになるはずが、全く関係ないキャラのパーティでの戦いになるといった、どうしてもシステム的な都合上乗り越えられない壁があるのは致し方ありません。「物語のこのパートを進めるなら、このキャラでパーティを組まなくてはいけない」という制限をかけることはおそらく不可能ではないにしても、それはそれで、「ガチャでそのキャラを引かなきゃ進められないのか!」という不満にもつながりかねないことを考えると、一概にどちらが良いとは言えませんので、ここは割り切るしかなさそうです。
船団戦について
今作には、先ほどの3本柱のストーリーに加えて、「船団戦」という対戦システムがあります。最大20人で1つの船団を作り、1日に2回、他の船団と戦うものですが、本編の物語とは全く関係ありません。船団戦をしていないからといって、物語の面白さが目減りすることはありません。本当にオマケとして用意されているだけです。もっとも、アイテムやキャラを貰うのに必要となる「ブレイブコイン」を集めるためには、この船団戦に参加する必要があるので、参加せずにいるよりは参加した方がお得なのは間違いないです。現在、ブレイブコイン100枚とSSRメルを交換できる期間限定キャンペーンが行われているとあってはなおさらでしょう。
なお、船団戦は勝たなければブレイブコインを貯められないということは一切なく、1日2回参加すれば負けてもコイン12枚(各回、参加報酬2枚、チェイン報酬2枚、個人報酬2枚の計6枚として)をもらえますから、例えば今回のメルのキャンペーンに関しては、その期間が終了するまでに最大目標枚数である500枚を集めることは十分可能で、さほどに負担を強いられるものではないと思います。
ですから、この船団戦についてはそんなに深追いしなくても全く問題はありません。トップを争っているチームの船団紹介を見ると、本気度というか非常に緊迫感漂うメッセージが書いてあったりもしますけどね。完全に割り切ってやらないというのも一つの考え方です。ただ、実際にやってみると非常に熱いです。手に汗握ります。対戦相手は、船団の力量がある程度同じ者とマッチングするようになっているので、船団戦への参加人数が同じかそれ以上の船団と戦う場合には、連携プレーや戦略が大切になります。最後の1分でスコアの上下が目まぐるしく入れ替わる中、勝っている時にはなかなか残り時間がゼロにならないのをもどかしく思い、負けている時には少しでも差を縮められるよう攻撃しなきゃと焦らされ、励まし合いながらそんな大接戦を終えた時には本当に「よっしゃー!」と勝利の雄たけびが上がります。戦い終わった後の談話室でお互いの奮闘を称えあって、労いあって、次の戦いもまた頑張ろう!と盛り上がる様はまさに戦友です。オマケ的な要素と思っていただけに、まさかここまで熱中することになろうとは夢にも思いませんでした。
結論
長々と書きましたが、結局のところ、「ピエトロの涙と妖精の笛」について何を言いたいかというと、
- 従来の作品との違いに敬遠している人がいるなら、今作の物語は味わわないと絶対に損!
- スマホのソシャゲになろうと今作のポポロは相変わらずのポポロ
ということですね。こういうことを書くと、十数年前に「はじまりの冒険」が出た時と同じように、「ぱぐさんって、ポポロだったら何でもいいんですか?!」と言われるような気もしますが、やはり当時と同様に、「うん」と答えます。
ポポロクロイス物語には様々な形態があります。一連のゲームについては言うに及ばず、田森先生の原作の漫画、アニメや小説、それぞれのやり方でポポロクロイスの世界を描いています。ドット絵じゃなければポポロじゃない、3Dはポポロには合わない、過去の名作をソシャゲにするのはやめてほしい、そんな意見があるのは百も承知ですが、だからこそ言うと、「ポポロを語るのにこうでなければならない」という方法はありません。大切なのは中身です。なので、コンシューマー機での作品を望むにしても、まずは今作の物語に触れてみる、それがいいのではないかなぁと思う次第なのでありました。