最終章を終えてみて

2020年1月19日

1年半以上の長きにわたって綴られてきた「ナルシアの涙と妖精の笛」のメインストーリー、最終章となる第18章にいたっては前編・中編・後編にわけて配信され、ようやく終わりを迎えました。もっとも、メインストーリーが終わったといっても、今回の小さな物語ではその後のエピソードが語られていますから、完全に収束したわけではありません。そもそもが、「デイモスはどこ行きおったー?!」という状況でもありますし。少なくともユリウシア大陸とネクロシア大陸での野望は潰えたわけですから、次に何かをたくらむとしたら別の大陸になるのでしょうか?

デイモスは、ポポローグの時は教祖として崇め奉られていましたが、ポポロクロニクル2ではキングナイトを召喚した王としてその当時の白騎士率いる虹の騎士団に倒されるくだりがありますから、一度倒されたらそれで終わりという存在ではなさそうで、まだまだ奥がありそうな気がします。

そういう意味では、今回のナル笛のお話はまだ終わっていませんから、その感想はもうしばらく先にすることとして、ここではデイモス以外に心残りになっている点について触れようと思います。

ナル笛が従来のポポロクロイス物語シリーズと大きく異なる点が1つあります。頭身が変わった、とか肌の露出が増えたとかそういう外見的な部分は横に置いておくとして。それは、闇の勢力に翻弄された上でのやむを得ない状況ではあるものの、「人が直接人に手をかける」場面があったということです。ですが、その結果どうなってしまったかは明示されていません。

ドルムの術でモンスターに変えられた人間は、そんなことを知らず町の人々を守ろうとするピエトロ達に倒されてしまいます(幸いにもナジュムのお父さんのクバルも危ういところで何とか一命をとりとめましたが)。モンスター化しただけであれば、ドルムを倒して術が解けた時点で助かるかもしれませんが、モンスターとして成敗されてしてしまった人たちはどうなってしまったのでしょう?また、猜疑心にとらわれたバラン国王は、自分の命を狙うテロリスト集団であるとして、カゼやソラたちシムーン一族の村を兵士に襲わせ、子供ですらも嘆きの淵に投げ込むという凶行に及んでしまいました。ならば、その人たちの運命は?ルチアについても言うに及ばずです。てっきり最後にはどうにか無事にザマドのところに戻って来るものだと期待していただけにショックは大きいです。

こうした「人が人に手をかけた」結果について、単に描かれていないだけで、何らかの形で救いのような枠組みが存在すると信じています。そう思いたいです。嘆きの淵にはダイマジロが生息していますから、何らかの特別な力が働いている場として、闇の意思に投げ込まれても助かる道がある、ルチアについても行方不明となったデイモスを倒せばもしかすると救われるかもしれない、どうしてもそういう風に考えずにはいられないんですよね。ナルシアが救われ、サニア王妃も救われ、さらには鬼面童子が生き別れになっていた妻子と無事に再会できたという「ポポロクロイス物語2」があまりにも優しい世界でありましたから。

消えゆく悲しさで描けることもありますが、共に生きる喜びに満ちた世界であって欲しいと、大甘な考えであるのは十二分に承知しながらも、たとえご都合主義であったとしても、そう考えずにはいられないのでありました。