14 リンゴの描き方

絵の描き方にも色々あります。色鉛筆に水墨画、水彩画に油絵、パステル、チョーク、クレヨン、などなど描くための道具がエトセトラ。点描、写実、抽象、デフォルメに貼り絵切り絵などなど描き方もエトセトラ。好きなように好きな方法で目の前にあるリンゴを描いて下さい、と100人に言えば100通りの描き方がなされます。でもたとえどんな描かれ方をされていようとも、描かれているものはたったの1つ、「リンゴ」です。 ではリンゴを描く時に、あの描き方はよくてこの描き方はよくない、あの描き方はこの描き方よりも優れていてこの描き方はあの描き方よりも劣っている、ということはあるでしょうか?もし「リンゴを描くには鉛筆画に限る!」とか「リンゴは抽象的に描いてはいけない」なんてことを言ったとしたら、それは非常におかしな話になってきます。
ところがこうした「おかしな話」が、時にポポロに関しては出てきます。既に何度も書いていることですが、「ポポロはドット絵でなくてはならない」「ポポロはピエトロが主人公に限る!」などなど。これが単に好みの問題であればそれは人それぞれなんで別に構わないんですよね(構わないというか仕方がないというか、非常に残念ではあるんですけど・・・)。先ほどのリンゴの例で言えば、鉛筆画を好む人もいればデフォルメ的な画風を好む人もいるわけですから。好みの是非は問うべきものではなくその必要もくありません。ただこれが先ほどの「・・・・でなくてはならない」「・・・・に限る」という意見になってくると「ちょっと待てーい!」とどうしても口を挟んでしまいます。大切なのは描き方ではなく、そこに何が描かれているか、です。描かれているものではなく、描き方を論じていては、まさしく奇々怪々本末転倒摩訶不思議。
次回作「月の掟の冒険」では、ピノン達以外にも仲間になるキャラクターがいるわけですが、プレイステーション2の性能上、今までのように一緒にいるメンバー全員を画面に描くことは難しいため、いわゆる「画面上には現れないが、その場にいる」という描き方になるようです。おそらくこのことに関して「今までのポポロではそんなことはなかったのに!」とか「そんなシステムはポポロじゃない!」なんていう意見が出てくることになるでしょう。でも大切なことは「画面上で全員が走り回る姿」ではなく、どのような冒険物語が繰り広げられるか、ということ。システム、すなわち描き方に気を取られて肝心の描かれているものを見失ってしまうようなことはあってならないと思います。