ゲーム性がなければゲームとして成り立たないものなのでしょうか?一口に「ゲーム」と言っても非常に幅が広いですから、ここではRPG、すなわち「ロールプレイングゲーム」に特化して話を進めていくことにします。
RPGにおけるゲーム性とは何か?と問われるとやはり戦闘の楽しみ、キャラクターの育成、やりこみ要素の探求、謎解きなどなど色々な要素を挙げることができます。故に世に放たれるゲームの数々は趣向を凝らしてこうしたゲーム性を高めることによって、ゲームとしての楽しさ面白さを提供していこうとします。その最たるものの1つがファイナルファンタジーシリーズで、戦闘における戦術、隠しボスキャラやそれを倒すために必要な隠しアイテムに魔法などのやりこみ要素にあふれています。では、こうした要素をすべて取り払ってしまったとしたら、ゲーム性を排除してしまったとしたら、その作品はもはや「ゲーム」ではなくなってしまうのでしょうか?
次のようなシステムのRPGを考えてみましょう。
・戦闘はほとんどオートで見ているだけである
・戦闘に失敗してもすぐにその直前からやり直すことができる
・戦闘が終わるごとにヒットポイント、マジックポイントがフルに回復する
・モンスターはランダムに現れるのではなく、出現する場所が固定されている
・アイテムも最小限で回復アイテムすら必要としない
・移動できる範囲が自由ではなく、ほぼ一本道一方向に定められている
・イベントは強制イベントばかりで選択の余地がない
さぁ、こんなシステムでゲームを作ったとしたら、先に挙げたゲーム性は間違いなく皆無です。「そんなものゲームと呼べるものではないではないか」との意見が出てくるかもしれません。しかしこのシステムの作品は実在します。それは探偵局の中でも時折触れている、「白き魔女」。物語を徹底して物語るためにRPGにおける一般的なゲーム性はほとんどないと言っても過言ではない作品です。ではそのことがゲームとしての面白さを損ねているのかというと、答えは否!ゲーム性とは関係なしにいつの間にか主人公達と同じ視点、一人称の視点で深く物語に入り込んでしまう程なのですから。その奥深さの前には先の「ゲーム性」などは消し飛んでしまうほどのものです。
RPG(ロールプレイングゲーム)のそもそもの面白さは何でしょう?一方的に情報を与えられるだけの受動的な映画や漫画とは異なり、自分で冒険を進ることによって積極的に世界を感じ、冒険を感じ、あたかも自分がその世界にいるかのような一人称の立場で物語を辿っていく、これこそがRPGというジャンルに与えられた楽しさではないかと思うんですよね。だからゲーム性というのはあくまで味付け的な要素であって、それほど重要なものではないのではないか、と。ゲーム性を追及するがあまりにそれが物語を辿る際の妨げになってしまっては本末転倒になりかねません。もちろんゲーム性と物語とが適度なバランスを持って相互に高め合うようなことになればそれが理想ではありますが、徹底的に物語性を追求してゲーム性を一切放棄する、そんなこだわりをもった作り方があってもいいのではないかと思います。RPGに何を求めるかによってこの辺りの考え方は180度違ってくるかもしれませんね。