250 ロビンの場合

2019年4月14日

昨年末に行われたポポロファンフェスタのトークイベントの部で、ポポローグに登場するキャラがナル笛では性格が全然違っているという点について、「ナルシアの涙と妖精の笛」のシナリオを担当されている藤咲淳一さんから、「ポポローグは夢の世界であるため、本人そのものではなく、本人の願望や夢が取り込まれてその世界での姿となっている可能性もある」というお話がありました。ポポローグで出てくるキャラの中には、全員ではないがイコール本人ではなく、本人が夢見る姿が実体となった可能性も含まれている、という解釈なわけですね。確かに、夢幻魔王は人の夢も自分の世界に取り込んでいますから、そのような状況があったとしても何ら不思議ではないですし、ポポローグとナル笛とでは立ち居振る舞いが異なるというのも説明がつきます。ただ、全てをそれで説明するよりは、他の切り口も考えてみた方が解釈に広がりが出てきますから、少しその辺りを考えてみることにします。

ナル笛に登場するロビンは一度も妖精の森から出たことはなく、人間を毛嫌いしています。一方、ポポローグのロビンは、とにもかくにも人の話を聞かないオッチョコチョイな狩人で、傭兵としてピエトロの冒険に協力してくれるほどに人間好きです。もしかすると、ナル笛でピエトロ達と出会った後に外の世界や人間族にも興味を持つようになり、世界を見て回りたいという願望がポポローグで夢幻魔王の世界に取り込まれたのでしょうか。夢幻魔王の世界は、過去の世界も取り込んでいるように時空を問いませんから、未来の世界が含まれていたとしても何ら不思議はないでしょう。もっともこの場合、妖精族としてのロビンが、オッチョコチョイな性格に憧れを抱いているのかは定かではありませんが・・・。

実は、「ポポロクロニクル2 星を抱く者」を読むと、ロビンの別の可能性が見えてきます。クロニクル2では、元は人間であった緑の騎士ヒューリーが瀕死の重傷であったところを妖精王メディアに転生の法と森緑の甲冑で救われ、妖精族として新たに生きることとなりました。しかし、森緑の甲冑には、「森の妖精王のために作られたもので、妖精以外の者がその甲冑を身につけると、森の精霊の力でその体が次第に妖精化してしまい、人間から妖精になる課程で人間の時の記憶も失われてしまう」という性質があり、事実、ヒューリーは、自分の名前がトロイでアヴァロニア王国の近衛隊長あったことを忘れつつあり、自分は元から緑の騎士であると思い込み始めるようになっています。

過去にロビンの身にも同じようなことが起きていたとしたらどうでしょう?妖精王エイルの森に迷い込んだオッチョコチョイのロビンが、何らかの理由で重傷を負ったところを助けられ、その結果として人間だった時の記憶を失い、自分は生まれついての妖精族だと思うようになったのではないか、と。ロビンがシヴァよりもかなり先に存在していることを踏まえると、ロビンが人間であったのは相当昔のことで、そのまだ人間であった時代のロビンが夢幻魔王の世界に取り込まれた可能性もありますし、もしくは、妖精化したのはそんなに古いことではなく、自分はずっと昔から妖精族だったと記憶が置き換わっただけと考えることもできます。想像の域を出るものではなく、こういう解釈も出来るという何ら根拠のない考えではありますけどね。

ポポローグでの姿は夢や願望が具現化したもの、という説明は非常に興味深いです。ナル笛では修行僧のような落ち着きを見せているミーシャが、実は心の奥底ではポポローグのようなハチャメチャな生き様をしてみたいと思っていたのだろうか?とか、お金やグルメでは満たすことができない心のスキマを埋めるものをレパルドは勇者との冒険に見出していたのだろうか?とか様々な解釈も出来るので面白そうです。メルの見た目の変化についてはまた別の機会に考えてみたいと思います。