263 パウロとピエトロのタイムパラドックス

ポポローグはイドが魔力によって夢を「夢幻世界」という空間に変えた場所が舞台になっているので、その冒険が夢か現実なのか判然としない、という一面があり、過去にもこんな記事を書いています。

今回は、新たな資料を引用しつつ、それはそれで新たなタイムパラドックを引き起こす結果になります、という切り口で参ります。

夢幻魔王イドを復活させたのは自分の責任だと、一人で倒そうと先を進めるパウロ国王を追いかける途中、ピエトロは「お父さんの日記」を拾います。その中で、封印の鏡を割ってしまったことへの悔恨と国王としての決意を記す一方で、次のような一節が出てきます。

言うまでもなく、ピエトロがポポローグの道中で過去のポポロクロイス王国に行き、パウロ王子の王位継承の儀式に巻き込まれることになった、あの出来事です。パウロ国王の記憶の中にこうした記憶があるという点においても既に夢幻世界での冒険が現実のものであることを示していると言えますが、ポポローグの元のシナリオにはもっと踏み込まれたことが書かれていました。それがコチラ。

この内容からも、王家の洞窟での出来事がいかに印象深く心に刻まれているかが分かります。それは、王位継承の儀式から18年後に生まれた我が子に、かつて出会った少年の名前を付けるほどに・・・とあくまでも元シナリオ上の中身ではありますが。

ピエトロの名前の由来がこの通りであったとすると、パウロ国王は30年後の未来から来たピエトロにちなんで名付けたわけで、でも夢幻魔王イドが復活したからこそパウロとピエトロが王位継承の儀式で邂逅したわけで、ピエトロが生まれた時にはまだイドは復活していないのだから2人の邂逅は起きていないのにピエトロと名付けられたという、考えれば考えるほどややこしくなるタイムパラドックスが発生します。だからこそ本編ではこの元シナリオのこのくだりには敢えて触れなかったとも考えられます。それでも当時のパウロ王子が共に冒険したピエトロを巡る因果に変わりはないので、面白くもありややこしくもあるポポローグという作品なのでありました。

この元シナリオにはピエトロがナルシアのことをお母さんみたいと言ってしまうところや、夢幻世界について興味深いことを示唆する内容もあるので、取り上げていこうと思います。