270 母への憧憬

ポポロクロイスの世界において異質な存在であるガミガミ魔王。その正体について、20年近く前に考察していましたが、

ポポロクロニクル2において、ブリオニア人であることが判明しました。クロニクル2でも書かれていますが、ブリオニア人=サボー先生と同様に犬の顔ということで、あのマスクの下にはどんな素顔が隠されているのだろうと思っていたところ、ナル笛の3周年記念放送の中でしっかり示されました。それがコチラ。

顔がフラットなので犬の種類としてはブルドッグ系のものを想像していたら物の見事にブルドッグで、ポポロの世界にはサボー先生のほかにもモンバやアイナといった人間族もいるわけですから、このような素顔は特別ではないんでしょうけど、記念放送でコレを見た時には愕然としたものでした。

クロニクル2の中で書かれているように、ガミガミ魔王は赤ん坊の時にブリオニアの脱出ポッドに乗せられたものの、何かのトラブルに巻き込まれて発射されず、ブリオニアを離れたであろう両親とは生き別れとなり、遅れて脱出ポッドが動いて地上に到着した時には天涯孤独の身となってしまいました。脱出ポッドの中でまだ赤ん坊だったガミガミ魔王を世話していオートマンが同行していたので未知の地上で生きていくことに大きく困ることはなかったかもしれませんが、物心がついて自分には親がいないことを知った時のガミガミ魔王の心はいかほどのものだったでしょう。ファーストアニメでも「俺様には何もなかった」とピエトロに語りますが、特にポポロ1では母を求めて叫ぶ場面がいくつか出てくるんですよね。

一度目が自爆したガミガミ魔王城から脱出したのはいいものの火だるまになって命の危機にさらされたこのシーン。

もう1つは氷の魔王を倒した後、戦った死と暗黒の世界から永遠に脱出できないのではないかと思った時に出てきたこの言葉。

ガミガミ魔王はどんな気持ちでお母さんを呼んだことでしょう。会いたくても会えない、成長する中で寂しくて悲しくて母を恋しく思った時がどれほどあったことでしょう。だからこそ、ピエトロ王子に、

このような手紙を残したのだと思います。ピエトロが母サニアを救うために頑張っていることを知った時、我が身の危険を顧みず墜落するブリオニアに戻って闇の世界に行くヒントになる本を取りに戻るほどにどんなことをしてでもピエトロを助けようと固く決意したのではないか、両親を亡くしたコゴト王子とプンプン王女が養子にして欲しいと押しかけた時には憎まれ口を叩きながらも快く応じたのではないか、ガミガミ魔王の強い思いを感じずにはいられません。
そしてルナのお母さんであるセレーネを助けられなかった時、ガミガミ魔王の背中しか描かれていませんでしたが、どれほど悔しくてどれほど己の無力さを呪ったことだろうと、何も語らない背中を見ながら考えたりもしました。

ガミガミ魔王の乗った脱出ポッドが正常に動き、両親と一緒にブリオニアを旅立っていたとしたら、ピエトロ達と出会うことはありませんでした。ガミガミ魔王は辛い思いをすることになってしまいましたが、氷の魔王やバルバランから世界を救うためにピエトロ達と出会う運命であったのかもしれません。そんなガミガミ魔王に良き伴侶が見つかっていつか幸せな家庭を築いてくれる、そんな未来が訪れるのを願ってやみません。ピノンが生まれてからもナルシア一筋の姿を見ると、それはそれで幸せなのかもしれませんが。