134 ネームの変化

2003年6月27日

 5月に念願かなって復刊となった、田森庸介先生のポポロクロイス物語原作本第1巻「知恵の王冠の冒険」。朝日小学生新聞に連載が始まったのが1984年、そして「ポポロクロイス物語レベル1 王子さま竜の山へいく」「ポポロクロイス物語レベル2 なぞのゆうれい島」が発刊になったのがそれぞれ1994年、1995年ですから実に息の長い作品となっています。初めて単行本化された際に新聞に掲載されていたものに加筆修正が加えられたという話ですが(残念ながら朝日小学生新聞が手元にはなくどの辺がどう変わったのかは確認不能)、実は今回の復刊に際しても単行本からの加筆修正はないものの、セリフや言い回しの細かいところに手が加えられています。細かい部分を全て数え上げるとその数なんと50点以上!さらにはかつてシュガー&ロケッツのホームページに掲載されていたものとも異なる部分があって非常に興味深いところです。特にカイやガミガミ魔王の口調が変わっている辺りが非常に細やかで驚かされたところなんですよね。先の単行本ではカイは「~しました」「~です」と非常に丁寧な話し方をしていたところを「~だ」調の非常に活発なものに変わっていますし、ガミガミ魔王の「わし」という一人称がしっかりと「オレ様」となっています。また、知恵の王冠を手に入れた後にこれまでは単に「暴れまくる」と言っていたところを「パウロ王に目に物見せてくれる」と変わっている辺り、ガミガミ魔王のパウロに対するライバル意識みたいなものが感じられて、なるほどなぁと感心することしきり。
セリフは世につれ、世はセリフにつれ、というわけではありませんが、単に復刊されるわけではなく、こうしたところに手が加わっているところは本当にお見事!夏に発売が予定されている次巻の「7匹の子竜の冒険」にもシュガー&ロケッツのホームページで公開されたものと比べて「気付かないけど大きな修正」が加えられているとのことなので、機会があれば一度照らし合わせてみると面白いでしょう。