
2020年2月にXユーザーのPoros Neustein(@keke_094)さんから「こういうものがありますけどご存知ですか?」と教えていただいた初代ポポロクロイス物語のプレイステーション・ザ・ベストのアジア仕様盤をようやく入手することができたので色々と調べてみました。
そもそもアジア仕様盤とは?
1996年10月23日付けで発表されたソニー・コンピュータエンタテインメントのプレスリリースに次のように書かれています。
- 市場の有望性と、ゲームビジネスに対する体制作りの進み具合により、 香港、シンガポール、タイ、マレーシア向けにアジア仕様のプレイステーション及びプレイステーション用ソフトの販売を開始する。
- アジア仕様のプレイステーションは、NTSC方式日本向けソフトに対応する。
- アジア向けのソフトは、日本で発売される主力新作ゲームソフトのジャケット及び説明書のみを英語に変更したアジア仕様盤を、日本と同タイミングでアジア各現地市場で発売する。
ということで、日本で発売されるプレステのゲームのうち、ゲーム内のテキストやムービーの音声は日本語のまま、パッケージと説明書を英語にしたものがこのアジア仕様盤になります。今回のプレイステーション・ザ・ベスト版の日本国内向けの型番が「SCPS 91030」であるのに対し、アジア仕様盤の型番は「SCPS 45101」となっています。
なお、この記事を書いている時点では、ポポローグのアジア仕様盤は確認できておらず、ポポロクロイス物語2のアジア仕様盤は「SCPS 45483~45485」の型番で販売されています。
今回のポポロ1のアジア仕様盤が発売された時期は定かではありませんが、プレスリリースに「日本と同タイミングでアジア各現地市場で発売する」とあることから、日本国内のベスト版がリリースされた1997年6月27日と大きく異なることはないと思います。
日本国内仕様とアジア仕様の外見的な違い

パッケージの表は型番が違うのみで見た目は変わりません。

裏面は全て英訳されています。紹介文を訳すと「ポポロクロイス王国の王子ピエトロの10歳の誕生日の夜に事件が起きた。盗まれた宝物を取り戻すために彼は旅立つ。それはピエトロ王子の運命、そしてポポロクロイス王国全土を巻き込むもう一つの事件の始まりです」といった感じでしょうか。右上の注意書きについて、日本国内仕様だと「全ての権利が保護されています。無断で複製することは該当する法律に違反します。このディスクを権利者の許可なく賃貸業に使用することを禁止します。また、ソフトに含まれるプログラム等著作物を無断で解析することを禁止します」と書かれているところ、アジア仕様盤では、
家庭での利用に限ります。無断のコピー、改変、レンタル(有償無償を問わず)、中古販売、ゲームセンターでの利用、利用料の徴収、放送、ケーブル伝送、公演、配布や抽出は禁止されています。
と事細かに禁止事項が書かれています。おそらくこれは、先のソニー・コンピュータエンタテインメントのプレスリリースの中に、
従来よりアジア市場では、他市場向けのゲーム機の改造品やゲームソフトの海賊盤が多く流通しており、正規のゲーム産業が成立するには難しい状況がありました。しかし、当社のアジア市場における プレイステーションの販売にとって、著作権の保護を重視したビジネスの構築は不可欠です。また、発展の著しいこれらアジア各国地域において、更なる文化発展のためには、著作権保護を重視した産業基盤の構築が必須であります。そのため、当社は、ゲームソフト業界、各政府当局、ソニー販売会社、ディストリビューター、特約店と一致協力して、ハードとソフトの両面で正常なゲームビジネスを推進してまいる所存です。
と記されているため、禁止事項を詳細に列記する必要があったのかも?と推察するところです。

ソフトの帯も英訳されています。訳すと「忘れられない物語がプレイステーション・ザ・ベストで帰ってきた。涙と笑いの素敵な物語。ロマンチックアニメーションRPG」ですが、日本語だと「アニメチック・ロマンチック・RPG」なので、なぜだろうと調べてみたらアニメチックというのは和製英語だからのようです、なるほど。

CD盤面は型番と注意書きが違うくらいで日本国内仕様とデザインは同じです。

説明書も型番と表紙裏の注意書きが英語になっている以外は日本国内仕様と内容が全く同じなので、日本語が読めない海外のユーザーはどうすればいいの?という状態です。

それを補完するため、操作方法や遊び方といった最低限の内容については4つ折りのマニュアルが入っています。でも、逆の立場だっだらたまったものじゃないんですよね、コレ。日本語で書かれた海外映画のポスターを見て映画館行ったら英語で日本語字幕ありませんでしたー、みたいな感じなのでファンにとっては蛇の生殺しのような気がします。PSP用ソフト「ピエトロ王子の冒険」みたいに音声も内容も全て英訳されていれば良かったんでしょうけど、この当時はまだ海外展開を視野に入れて音声やテキストを簡単に差し替えられるデータ構造になっていなかったのでしょうか。


なお、アジア仕様盤の説明書の裏面には、日本国内仕様とは異なり、当時のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)の公式サイト「GARAGE」の紹介がありません。今でこそ海外向けに外国語で書かれた企業サイトは珍しくありませんが、playstation.comのアジア向けサイトのアーカイブが残っているのが2006年10月からであることを考えると、アジア仕様盤が発売された1997年当時ではまだそこまで海外対応していなかったのだろうと思われます。今ならgoogle先生が一発でサイト丸ごと翻訳してくれますからいい時代になりました。
日本国内仕様とアジア仕様との内部的な違い
パッケージや説明書といった見た目的な違いについては以上の通りですが、CD-ROMの内容に変更があるかどうかという点に関しては、両者は完全に同一と言えます。

それぞれのディスクをイメージファイル化したデータのハッシュ値を確認するとぴったり合致するのでCD-ROMの頭のてっぺんから足のつま先に至るまで何ら変わるとことはありません。両者のディスクの内容に差異があれば、さぞかし探求のし甲斐があったことでしょう。
何はともあれ存在を知ってから5年半にしてようやくの解明となりました。型番で検索しても全く情報が出てこなかったこともあり入手するのに難儀しましたが、諦めることなく継続的に探し続けるのが大切なんだと再認識した次第です。こうした「宿題」がまたあると良いんですけどね。