190 「ピエトロ王子の冒険」に物申す

2005年3月4日

 PSPの「ポポロクロイス物語 ~ピエトロ王子の冒険~」では、状況によっては冒険が先に進められなくなるという重大なバグが発見されました。「氷の魔王編」第4章でガミガミシティのエレベーターに乗ることが「闇の獅子王編」第2章に影響を及ぼすという、まさにバグの不可思議さを実感することとなったわけですが、同症状については現在「サポートセンターにメモリースティックを送ってセーブデータを書き換える」という方法で対応がなされています。
PSPはストレージデバイスとしてパソコンに接続できますから、「メールにセーブデータを添付して送る方法はできないの?」との声もありますが、PSPのセーブデータはパソコンでの改ざん防止のため暗号化されているので、個人でメモリースティックにデータを書き込んで使うということはできないようです。修正ソフトを配布するという方法も考えられますが、これも修正ソフトを解析することにより暗号化のアルゴリズムを解読されることになりかねないので難しいものなのでしょう。
しかし、今はまだバグ情報が発表されて間がなくこうした原因や対処方法は広まりやすい状況にありますが、時間が経てば経つほど忘れられてしまうこととなり、しばらく後にポポロを買った人が同じ目に遭ってしまう危険性は残り続けることになります。このままでは「バグに対する不信感」が「ポポロクロイス物語というシリーズに対する信用問題」にすり替わりかねないので、将来に禍根を残さないためにも、単にセーブデータの書き換えという小手先の手段にとどまるのではなく、ディスク交換というバグ問題根絶の手段を取るべきではないかと思います。
・・・とまぁこれも大きな問題の1つではありますが、今回の主旨ではないんですよね。バグは言わば好き好んで入れたわけではない「不作為」なもの、バグフィックスが不十分であったのは今後気をつければよいだけのことです。不作為は気をつければ済む問題ですが、「作為」による問題となると話は別で、根は非常に深いものとなります。今から触れることについては、これまでに話題に上がったのを見たこともなくバグのように騒ぎとなったわけでもないので、「気にしすぎじゃないの?目くじら立て過ぎじゃないの?」と受け止められるかもしれませんが、非常に納得のゆかない「作為」に関わる危惧として、お付き合いいただければ幸いです。・・・以下、激咆哮モードに突入します。
その問題は、ブリオニアにて登場することとなります。百聞は一見に如かず、ということで画面写真を見ていただくことといたしましょう。

言わずと知れたブリオニアのイルカショーの場面ですね。私は初めてPSP版のこの場面を見た瞬間、

「この画面に並んでいるのは一体何だ?!」

と激しい違和感に襲われました。画面のあちこちに点在している、どう見ても周りに馴染まない人物が片っ端からに目に飛び込んできたからです。ここに登場するチップキャラは、決してPS版ポポロ2のイルカショーでは存在しなかったもの、そしてPSP版においても他には一切登場せず、ここだけに限られるものです。一体全体何なのか、答えは1つしかありません。これは間違いなく、

「制作スタッフの自画像キャラ」

でしょう。服装といい雰囲気といい周りから浮いており、明らかに異質です。自分の目にはそう映ります。「いや、そんなことはない、たまたまそう見えるだけだ」と言われるのであれば問いましょう。「ではなぜ、このチップキャラを他では使うことなくここでのみに使っているのか」と。
こんなものを見せられて誰が喜ぶというのでしょうか?喜ぶとすればそれは一部の制作スタッフだけでしょう。一部の人間の楽屋オチ、自己満足のために、ポポロの世界に全然関係のないものを持ち込むとは何事か!と怒りと疑問を呈さずにはいられません。

「何のために、誰のために」

この問いに対して納得できる明確な答えが存在するのであればぜひとも示していただきたいものです。
制作スタッフが記念としてソフトの中にその足跡を残したい、という気持ちは分からなくもないですが、今回の場合は明らかにそれを前面に押し出しすぎではありませんか?足跡を残すのであれば、スター・コンチェルトの絵画のように、「月の掟の冒険」でのあのあいさつのように、ささやかな程度にとどめるべきであって、今回のように画面の中に思いっきり登場させ、それがために雰囲気に違和感を生じさせているというのは行き過ぎです、本末転倒です。
このような「一部によるお遊び」について、「やめた方がよいのではないか」と内部で疑問を抱かれることなく(抱かれたとしても)、そのまま世にリリースされたことについては激しい危惧と疑問を抱きます。「世界観を崩さない」、こうした観点をもって内部でチェックせずしてどこがチェックするのでしょうか?エスカレートした場合誰が歯止めをかけるのでしょうか?少しでもこの観点があれば今回のようなことは決して起こりえなかったと思います。
原作者によって示された世界を、ゲームという形でありのままをありのままに伝えるのが、制作スタッフの担う縁の下の力持ち的役割であり使命であるはずです。そこを逸脱した上に世界観を壊されてしまったのではたまりません。今回のようにポポロの世界を私物化するのは・・・やめていただけませんか?

 

(補足)
ちなみに、パソコン版の「白き魔女」にも、「開発室」と呼ばれる、今回のイルカショーとは比べ物にならない程にコメント付で制作陣がオンパレードに登場する場所が存在します(PSP版にはありません)。しかし!この場所は本編とは全く関係ない上に、見えない橋を通らなければ到達できないという極めて特殊な場所にあり、辿り着こうと思ったところで簡単にいける場所にはありません。

「見つからなくても構わないけど、見つけられるものなら見つけてごらん」

お遊びが「遊び心」として認識されるためには、こうした配慮が欠かせないものと思われます。
パソコン版「白き魔女」をお持ちの方で、「え?そんなものが存在したの?!」と思われたアナタ、ぜひとも見つけ出して辿り着いてみて下さい。結構苦労させられることになると思いますので。「自力で探してみせよう!」と思われるのであればそのまま、もし「どのような行き方なのか見てみたい」ということであればコチラをクリックしてください。

(「開発室」の写真)


もしこれが簡単かつ誰にでも見られる場所にあったら決して許されないでしょう。
だからこそ隠す、それがファンに対する最低限の心遣い・礼儀というものです。