2017年5月21日
2013年12月に考察した「サニアと竜の剣」の中で、パウロがピエトロの持つ竜の剣を見て「それはサニアが持っていたものだ」と説明したことについて、「竜の剣はサニアが持ってきたものではなく、老竜神の元にあるというのではなく、元々『王家の洞窟』にあったものではないか」、なんてことを考えてみたわけですが、この件については、2005年2月に発売されたPSP版ポポロクロイス物語の公式サイトにおいて、「ピエトロが持つ竜の剣は、サニアの守り刀だったもの」とはっきり示されました。じゃあこの考察はこれでおしまい、なんですけど、ポポロクロニクルを読んで考えておきたい点があったので再び持ち出してみました。
ポポロクロニクルは、闇の意思にとらわれた老竜神が、自分の命が狙われているという猜疑心から娘であるサニアを竜の剣で襲ってしまい、サニアは竜の国を命からがら逃げださなくてはいけなくなりました。この時の老竜神の過ちがなければ、パウロとサニアが出会うこともなく、ピエトロが生まれることもナルシアとの出会いが起きることもなく、ピノンが生まれることもなかったと考えると、当時のサニアにすれば、父親に殺されそうになったというこの上なく悲しい事件であったに違いありませんが、大きな運命の歯車が動き始めていたのでしょう。
そんないきさつからすると、「竜の剣はサニアの守り刀であった」という説明は事実と相違しますし、「竜の剣はサニアが持っていた」というパウロの言葉とも違ってきます。真実はどこにあるのでしょうか?
パウロがピエトロにそのように説明した理由は容易に想像がつきます。かつてギルダが、海水からナルシアを守るため、そしてもう1つはありのままに教えてナルシアが自分は妖精族でひとりぼっちだというさみしい思いをしないですむようにと「森の魔女は海水に触れると泡になってしまう」と“優しい嘘”をついていたのと同じように、パウロも嘘をついたのではないかと思います。母を、そして世界を救おうと旅立つ10歳のピエトロに、「竜の剣は、娘を殺そうと父親(ピエトロにとってはおじいちゃん)がサニアに突き立てたものだ」なんて真実を伝えられるわけがありません。尾に刺さっていたというのを“持ってきた”と幅広く解釈すればあながち嘘でもないはずです、多分。
竜の剣がサニアに振るわれた理由はどうであれ、それを手にしたパウロがサニアと協力してルーベンの戦いを制したわけですから、その結果を以て“サニアの守り刀”にもなったというとらえ方をすれば、PSP版ポポロの公式サイトの説明も、なんとか辻褄が合いそうな気がします。
ポポロ2の時にしても、ポポまりにしてもポポロクロニクルにしても、新しい作品が発売されて、これまでの物語では示されなかったことや新たな事実が出てくると、それをどのように整合させるかに考えなければならない場面も出てきますが、それを「今までにそんな話なかったじゃん!」とか「後付けだ」と拒否反応を示してしまってはもったいないです。いかに世界や物語を解釈してまとめていくか、それもまたポポロという20年以上にわたるシリーズ作の醍醐味の一つでもあると思いますので、今後もそういう局面が出てきたとしても、ひっくるめて楽しんでいけたらなぁと思っています。