239 空白の5年間、再び

2017年11月19日

 2005年2月に載せた「178 空白の5年間」の中で、サニアが老竜神と別れてからパウロと結婚するまでに5年の月日があった理由について考えたわけですが、ポポロクロニクルを読んで、別の可能性にも思い至ったので、今一度検討してみたいと思います。

改めて、PSPで版ポポロが発売された際、その公式サイトに掲載されたポポロクロイスの年表には、

AP472年  老竜神とサニア決別
AP477年  パウロとサニア結婚

と書かれていたため、その当時は、「サニアがパウロと一緒になる道を選んだために老竜神と決別することになった」と思ったものですが、ポポロクロニクルを踏まえると、この決別というのは、老竜神が闇の意思にとらわれて娘のサニアを殺そうとした事件によるものではないかと考えることができるんですよね。この時、老竜神はサニアにこう語ります。

余を許してはくれぬか?いや、すぐにとはいわぬ。おまえの心が癒えるまで、余はいつまでも待とう。その気になったら、いつでも王国の門をたたくがよいぞ。

ルーベンの戦いから1年後、“竜に心を開く準備ができた”パウロは、妖精の湖を訪れてサニアとの再会を果たしたわけですから、サニアは心の傷が癒えるまで老竜神の元を離れ、妖精王のところに身を寄せていたのでしょう。だから、この時の決別は、パウロが原因ではないと考える次第です。それから結婚するまでのいきさつについては完全な推測になりますが、パウロと再会したサニアは、竜の国に戻って老竜神との関係も戻った、しかし、パウロとの結婚についてはそれでも父から理解を得られなかったために、再び竜の国を離れる状況になってしまったのではないかと。

パウロとサニアには恩義があるとはいえ、老竜神が2人の結婚を認めようとしなかった理由については、老竜神が、まだ幼いサニアを妖精王メディアに引き合わせた際にバスカルと交わした会話の中からうかがい知ることができます。バスカルが、「すべてのほったんは竜族の娘にあり。姫が妖精の森に赴く時、人間族の王と心を通わせ、四種族の和合の扉が開かれん」という光の意思デュオンのお告げを伝えた時、老竜神(当時は竜王)は、サニアが人間族の王と一緒になることについて、「そんなことはあり得ん!あってはならぬことだ!デュオンの御心とはいえ、わしは断じて許さぬぞ!」と声を荒げました。竜族と人間族が結ばれることが、デュオンのお告げであっても“あってはならぬこと”というのは、両族の分断がいかに大きいものであるのか、もしくはかつてバルバランを復活させた人間族の罪の深さゆえのことなのかもしれません。ちなみに、竜族の寿命の長さから考えると、サニアと妖精王が初めて会ってからルーベンの戦いが始まるまでには十数年ではなく、相当の時間があったと考えられます。

そして、再び老竜神の元を離れたサニアは、人間族でありながら妖精族と心を通わせ、パウロからも信頼を寄せられる、ポポロクロイス城からも近いフローネルの森のギルダの世話になりながら、パウロとの縁を深めていったのではないかという点については、前回の考察から変わりません。いずれにしても、この2人が結ばれたことが全ての始まりなわけですから、それを大きく喜びましょう。