2018年5月19日
今回のテーマ、実は「ポポロクロイス物語2」に端を発しているんですよね。ギルダのところにナルシアが預けられた時、ギルダは、赤ん坊サイズのナルシアに驚愕するとともに、「妖精がこんなに大きくなるなんで、これじゃまるで王族の・・・」とつぶやきます。ナルシアは妖精王メディアの娘ですから、ここに「人間と同じ大きさに成長するのは妖精族の中でも王族のみ」という認識が生まれ、「え?じゃあ、ポポローグに出てくるミルトとクルトはどうなるの?」という疑問が、その当時にポポロファンの中で言われるようになりました。確かに、“いたずらな異世界の妖精”であるこの双子は、ピエトロと一緒に夢幻世界を冒険していますからね。
そこに加えて、今作の「ナルシアの涙と妖精の笛」です。この作品には妖精王メディアを守る存在として、フォリアとシーリスという2人の側近が登場します。さらにはロビンも妖精族のようで、みんなピエトロやナルシアと同じ大きさなわけですから、ギルダの言っていたことの本当のところは?実際のところ妖精族のサイズってどうなっているの?とますます謎が深まりました。こうした違いを、矛盾だとか設定違いという愛情も味気もない言葉で片づけてしまっては非常にもったいないですし、むしろこの違いを考察することで真実が見えてくることもありますから、いつものように解釈してみようと思います。
今作で新たに判明したのは、ポポロクロイスの世界には7つの大陸があり、各大陸に(おそらくは森の)妖精王が存在するということ。人間のように各地に王国があってそれぞれに王様がいるような感じでしょうか。となると、ミルトとクルトについては、メディアとは別の王家の血筋であると考えれば、“人間と同じ大きさに成長するのは妖精族の中でも王族のみ”という点について矛盾することなく説明が付きます。この考えでいくと、ロビンもそうした血筋であるとみることもできるでしょう。ただ、この考え方だと、ポポロに出てくる人間サイズの妖精はみんな王族なの?ということになってしまいますし、メディアに仕えていることからも王族の血筋ではないことが明らかなフォリアとシーリスの解釈にも困ります。
そこで行き着いたのが、妖精族の中で妖精王を守る立場にある者は、闇の勢力と戦うことができるよう、後に人間と同じ大きさの姿が与えられたのではないか、という解釈です。生まれながらにして人間と同じサイズなのではなく、後にそうなったという捉え方ですね。こうすれば、先のギルダの言葉の裏には、「赤ん坊の時点でこの大きさだなんて・・・」という驚きがあるとみることができます。さらには、フォリアがルーベンの森を抜けだしていろんな街を見て回っているのと同じように、ミルトにクルト、ロビンも世界を旅しているのかな?とも考えられましょう。
まとめると、
- 生まれながらに人間と同じ大きさであるのは王族の血筋のみである。
- 闇の勢力と戦うなど必要がある場合には、役割に相応しい姿が与えられる。
といったところでしょうか。
実際のところ、妖精族の詳しい話はまだそれほど多くはありません。7つの大陸に7人の妖精王という中でもメディアが特別な立場にあるのは、大神ユリウスに縁のある“ユリウシア”大陸の妖精王だからだろうか?とか、森の妖精王のほかにも、セレーネのような海の妖精王もいますから、今までのポポロクロイスの物語の中で見てきた妖精族の世界は非常に限定的だったと言えます。その辺りが今作でどのような広がりを見せてくれるのか、非常に楽しみです。