267 クロニクルとポポロ1とのつながり

プレイステーションで初代の「ポポロクロイス物語」(ポポロ1)が発売されたのが1996年7月、その前日譚となる冒険を描いたポポロクロニクルが執筆されたのが2009年3月(出版は2015年2月)と17年の開きがあります。その間に数々のポポロの作品が発売されており、クロニクルに描かれている内容とこれまでの作品との整合性は是非とも考えておきたいテーマです(パウロ、ガミガミ魔王や白騎士等の年齢の考察は厄介そうですが・・・)。
クロニクルは後から作られた物語だから整合性が取れない部分があるのは仕方ないのでは?というのはもちろんその通りですが、そこで思考を止めてしまうのはもったいないというか、探偵局の名が廃りますし、そうした齟齬が生まれる場所にこそ考察するポイントが潜んでいるので、ポポロ1の冒険を進めながら色々と掘り下げていこうと思います。

今回のテーマは、「再会なのに初対面?」です。

ガミガミ魔王は、ピエトロの10歳の誕生日の日、“知恵と勇気の結晶”で夜も寝ずに10年がかりで作ってきたガミガミ魔王ロボを完成させるべく、ポポロクロイス城に知恵の王冠を奪いに来るわけですが、パウロとガミガミ魔王が対峙した場面がコチラ。

いきなり王国を襲撃して城に乗り込んできたわけですから驚くのは無理もありません。ただ、パウロとガミガミ魔王がクロニクルの冒険譚の中で既に出会っていてお互いに面識があることを踏まえると、目の前にいるのが誰なのかを認識できないこのパウロの反応はなぜ?となるんですよね。誰だか分かっていれば、「きさま、ガミガミ魔王!」となるでしょうから。
そこで、パウロがガミガミ魔王のことを分からなかった理由を考えてみると、

  1. 氷の魔王の襲来以降の様々な苦労の積み重ねがあって咄嗟には思い出せなかった。
  2. ガミガミ魔王の格好がクロニクル時代のものとは異なっていた。ちなみにクロニクルの時代ではガミガミ魔王は黒ひげでした。
  3. 当時の面影がないほどガミガミ魔王のオジサン化が進んでいた。
  4. まさかかつて冒険を共にしたガミガミ魔王が王国を襲ってくるとは思えなかった。

などが挙げられます。そしてガミガミ魔王が名乗ると、

このような反応を見せたことから、この時点で思い出し、「なに、ガミガミだと・・・」と初対面ではないことを思わせる言葉が出て来たのではないかと考えることができます。クロニクルのことを考えないのであれば、パウロは国王として国内におけるガミガミ魔王の動向を把握していて、そのガミガミ魔王が城についに攻め込んできたからこその反応と捉えるのが筋でしょうけど。

さらに、クロニクルの冒険以降、パウロとガミガミ魔王が再び顔を合わせることはなかったのか?という点についても考えてみると、

ガミガミ魔王は、自分に殴りかかってきたピエトロ王子のことを知らなかったわけですから、少なくともポポロクロイス王国の状況に疎くなるくらいには、パウロとガミガミ魔王が再会することはなかったのかなぁと思われます。

ポポロ1におけるパウロとガミガミ魔王との出会いに続いて次は白騎士。

今度はガミガミ魔王が白騎士のことを知りませんが、クロニクルの冒険があってもガミガミ魔王が白騎士のことを知らないというのは当然と言えば当然です。その当時の白騎士はまだ子供で、今の鎧を身に付けておらず素顔のままでしたから。自分の知り合いが白騎士の格好で目の前に現れたら誰でも「誰だっけ?」という反応になると思います(笑

一方、この場面において白騎士はガミガミ魔王を知っていますが、それは、先に剣を奪われた時に遭遇していたからであって、実際のところ白騎士は、田森先生のサイト「タモタモの部屋」で言及されているように、白騎士になる以前の記憶を失っているため、ガミガミ魔王のことをそもそも覚えていません。
白騎士が記憶を失くした理由はまだ明確になっていませんが、おそらくは“虹を統べる者”が着る白の甲冑を身に付けたことに起因すると考えられます。この甲冑は鍛冶の神ロキオンが作ったものなので、人智を超えた力を有するであろうことは想像に難くありません。森の妖精王のために作られた「森緑の甲冑」を人間が身に付けると、森の精霊の力でその体が次第に妖精化され、その過程で人間の時の記憶が失われるという影響がありますから、そうした特別な白の甲冑にも同様の作用があるのではないでしょうか。白騎士にクロニクルの冒険の記憶がないというのは今後の整合性を考えるにあたってのワイルドカードになりそうです。

というわけで、ポポロクロニクルのフィルターを通じて、これまでのポポロの作品を見ると色々と考えることが出てくるので、しばらく考察を積み重ねてまいります。次はポポロ1におけるパウロとサニアとの出会いを考えることになりますが、結構難儀しそうな予感・・・。