2002年10月25日
風族の族長の娘、ヒュウ。彼女の自由奔放な生き方は、ポポロクロイス王国を大騒動に巻き込んで、時にはピエトロ達を傷つけ、時には自分も傷ついたりしながら、周りにいろんな波紋を投げかけていきました。そうしたこともあって、「ヒュウ=ワガママ娘」という見方が非常に多いわけですが、元々がそうなのか、風族の生き方がそのように見えてしまうのか、果たして本当のところはどうでしょう?
ポポロクロイス王国にやってきたばかりの時にヒュウとはぐれたストンの喜び具合を見ていると、ポポロクロイス王国に来る前から結構ストンとサンダに無理難題を言いつけては困らせていたとは思います。だっていきなりピエトロひっぱたく位ですし。だから根はワガママなのかなっていう気がしなくもないですが、それでも王国に来る前のワガママさと王国に来てからのワガママさ、これは全然別のものだと思うんですよね。風族は気の遠くなるほどずっと昔から他の種族との交わりを断ち、孤独な旅を続けてきました。そしていつしか、あらゆるものに縛られることなく誰にも頼らず自分1人の力で暮らすことが風族にとっての自由、風族にとっての生き方となりました。それが当たり前のものとして今まで過ごしてきたヒュウにとって、ピエトロ達との出会いは戸惑うことだらけだったに違いありません。
そんな中、ヒュウはピエトロに想いを寄せるようになるわけですが、初めて感じるその想いがどのようなものであるかを理解することができずに、ピエトロと一緒にいたいという気持ちとそれと相反する風族としての生き方が、いつもヒュウの心の中でせめぎあっていたことでしょう。そして、少しでもピエトロの気持ちを自分の方に振り向かせたくて、振り向いて欲しくて、ピエトロの竜の力を奪ったり、ポポロクロイス城をあんな風にしてしまったのではないかと考えると、これをワガママと一言で片付けてしまうのはあまりにも酷のような気がします。「このままじゃ私、帰るに帰れない!」、この一言に、自分でもどうしていいのか分からない、でもピエトロには自分の気持ちを知って欲しい、そのあまりにも切ないヒュウの願いが込められています。
自分の本当の気持ちを口にしてからヒュウは変わります。いや、本当のあるべき姿を取り戻したのかも?そしてそれはガミガミ魔王をして、「あのワガママ小娘が・・・」と驚かせるほどに。だからヒュウのことをワガママ娘と考えるのではなく、一見ワガママに見える行動の背景にあったものを考えて見つめ直すとヒュウの新しい魅力が見つかるかもしれません。最初に根はワガママなのかなって書きましたけど、本当に根っからのワガママだったとしたら、ストンとサンダが一緒に旅に出ることをピエトロに断られて一人泣いているヒュウの姿を見て怒ることはなかったでしょう。そして風族の絶対的存在とも言うべき族長に、ヒュウをポポロクロイスに残してあげて欲しいと頼むようなことはなかったでしょう。なんだかんだと時には悪態をつきながらもやっぱりあの2人はヒュウのことを慕っていたんですよね、きっと。
あのたくましくなったピエトロ王に会ってヒュウがどのような顔をするのか、ぜひとも見たいところです。そしていつか思い出話に花が咲かせる時が訪れてくれることを願っています。