129 闇の精霊

2003年5月2日

 ポポロクロイスの世界は精霊によって構成されています。風の精霊、炎の精霊、水の精霊、月の精霊、地の精霊(これはポポまりには登場しませんが、ファミ通のガイドブックを見る限りでは存在するもよう)、そして闇の精霊が存在するわけですが、精霊はそれぞれがそれぞれの世界における役割を担っています。風・炎・水の精霊の役割についてはポポまりの中で描かれているとおりですが、では果たして月の精霊や闇の精霊の世界における役割というのは一体何なのでしょう?月の精霊も非常に謎多き存在ですが、今回は闇の精霊について考えてみることにします。
ポポロクロイス城が闇に覆われようとした時、幸いパプーの力によって退けられたのですが、それでもお城や城下町の人たちに少なからず影響を及ぼしていきました。口調がきつくなっていたり、普段絶対に言いそうにないような悪口を言っていたり、人を突き放すような物の言い方をしたりとその影響は様々ですが、これらはすべて人が抱える、人をうらやんだり妬んだりといった「負の感情」が増大したことによるものでしょう。さらには風の精霊は「嵐が嫌な感じがするのは闇の力によるもの」とも話しています。こうしたことから、闇の精霊とは世界におけるマイナス的なものを生み出す存在である、という見方ができるわけですが、それでは果たして闇の精霊そのものは悪なのでしょうか?例えば負の感情は人間誰しも多かれ少なかれ抱えているものです。闇の精霊がいるからそうした感情を抱くのか、そうした感情を抱くから闇の精霊が存在するのかと、あたかもニワトリが先かヒヨコが先かという話になりますが、そうした感情そのものは決して邪悪と呼ぶほどのものではありません。むしろそういった感情をきちんとコントロールして生きていくことこそが人間を大きくしていく一面もありますから。だから闇の精霊そのものは決して忌み嫌われるべき存在ではないんじゃないかという気がします。ヤズムは世界を闇で覆おうとして(人々の負の感情を増大させ、絶望と混乱を起こさせてさらに負の感情を増大させていくことを狙っていたものと思われます)、それが世界にとっての大きな危機になったわけですが、では闇の精霊は常に世界にとって危険な存在であるのかと言われれば、これもノーじゃないかなと思います。風・炎・水の精霊にはそれぞれの個性・感情があるわけですから、きっと闇の精霊にもそうしたものはあることでしょう。だから、「火や風や水は世界から歓迎され大切に思われているのになぜ自分は忌み嫌われる存在なのだろう?」と考えることもあったのではないでしょうか。そして闇の精霊が抱えた「心の闇」と言うべき感情にカオスが目をつけた、カオスは闇の精霊のそんな感情を煽り立てマイラを操って世界を滅ぼそうとしたように闇の精霊に世界を滅ぼさせようとした、そのために闇の精霊に「ヤズム」という名前を与えることにより持つ力を増大させたのではないか、とこう考えるわけです。闇の精霊をマイラと対照させて考えると相通じる部分が見受けられますし。
ヤズムはピノン達によって滅ぼされてしまったわけですが、決して「闇の精霊」そのものがなくなってしまったわけではないでしょう。倒すことは出来ないが祓うことはできる、パプーが言い放ったあのセリフは、実は負の感情という気持ちの持ち方をも示しているのかもしれませんね。