2003年10月4日
永遠に年を取ることなく、毎日毎日好きなことをして過ごすことができる環境にいて、そんな生活を気の遠くなるほどずーっと過ごしてきたとしましょう。ではその生活を続けるか、それともそれを捨てて限りある命を選ぶかのどちらかを選択せよ、と言われたらどちらを選ぶでしょうか?
サボーさんは3000年も前から、バルの心臓が暴走したことによって空の孤島となったさまよえる大陸ブリオニアで時を過ごしてきました。静かで平穏なところで勉強や研究に没頭できる毎日。しかし氷の魔王の復活を企てるヤブー達四天王によってこの生活は破られてしまいます。そして墜落するブリオニアがポポロクロイス王国にぶつかることを回避するためにはバルの心臓を止めるしか手段がないことに気付いた時、サボーさんの目の前にこの問題が突きつけられることになりました。今まで「死」という概念すらなかった生活を捨て、限りある命に生きる人生を選ぶか、それともポポロクロイス王国を犠牲にしてまでもこれまでの生活を維持していくのか・・・。最終的にはサボーさんは前者の道を選んだわけですが、ピエトロ達に最初会った当初は、ピエトロの話を聞いても「私には関係ないことだ」と突っぱねていたほどでしたから、これ、もの凄く勇気がいることだと思うんですよね。目の前には一生かかっても吸収しきれないほどの膨大な研究資料があり、そして永遠の生命が約束されている環境なんて一度手放したら二度と手に入れられるものではないわけです。
でもサボーさんは決してこの選択を後悔しなかったでしょう。世界には多くの人々が暮らしていて、サボーさんの知識を力を必要としています。単に知識を蓄積するのではなく、その知識を利用して何が出来るか何の役に立つことが出来るのかに思いを馳せ、知識は人々の役に立ててこそのもの、ということを実感したのではないかと思います。お城の魔法使いもこのように話しています。「私達にできることは自分達が身につけたことを惜しみなく次の世代に伝えていくことだ」と。失くしたからこそ得ることのできた気付いたかけがえのない大切なもの、今の立場にとどまることなく一歩足を踏み出す勇気が大切なのかもしれませんね。