168 制作サイドに物申す

2004年6月27日

 延期に次ぐ延期の末にようやく発売になったエンターブレイン刊の月の掟の冒険公式ガイドブックですが、前巻、前々巻と同様にインタビュー記事が掲載されており、非常に興味深い内容が色々と書かれています。しかし、今回のインタビューの制作に関する部分についてどうしても府に落ちないというか懸念を感じずにはいられないことがありましたので、非常にマイナス的な意見になってしまいますが、問題提起の意味を込めてまとめていくことにします。
気になったのは2点あります。1つはEX装備のいきさつについての部分です。EX装備が採用されたいきさつとして次のように書かれています。「ユーザー側の要望として何かを集めて楽しむ要素が必要ではないか」、と。これはピエトロの趣味でもあるおみやげについて考えてみれば、確かにそうしたものがあった方が楽しみが生まれますよね。それでEX装備が誕生した、この点については賛成できます。ただその中身を決定するにあたっての前提が「お遊びだから世界観は無視しよう」となっていること、これについては断固として納得できません。ゲーム的な面白さ、お遊び、それを追求しようという姿勢は分かります。何かを考える過程において制限を課さず自由な発想で意見を膨らませるという方法もよく分かります。でも、いくらなんでも世界観を無視してしまっちゃあ本末転倒ではないでしょうか?全ては「ポポロクロイスの世界」が原点となるわけですから、その原点を無視してしまっては元も子もありません。ポポロの世界とはかけ離れたものが出てきてしまうことになります。案の定エレナのEX装備について「レースクィーン」の案があったと書いてあります。何故?どうして?ポポロの世界にレースクィーンの衣装を持ち込むことに一体どれほどの意味があるのでしょう?いくらお遊びだとはいえ完全に世界観から逸脱してしまってはいませんか?そんな世界観を壊してしまうようなことになってまで集めて楽しむ要素なんて欲しくはありません。意表を突くことと世界観を守ること、果たしてどちらが大切なのでしょうか?幸いエレナのEX装備はチャイナ服となり、ルナのEX装備はメイド服となりました。これについてはポポロファンの間で疑問が投げかけられることが時にあるものの、ポポロの世界にはトンクウという街がありますし、ポポロクロイス城にもメイドさんはいるわけですからさほど目くじらを立てる必要はないかと思います。チャイナ服やメイド服に対して余計な先入観を持ち込まない、というのが前提ではありますが・・・。世界観という枠組みだけは決して外さないようにして欲しいと強く思う次第です。ちなみに集める要素として考えるのであればピノンの場合「本」があります。「ポポロネシア物語」をメッセージとしてではなく、何冊かの本に分けてあちこちに散らばっていたら、やはり集めたくなりますしその内容も楽しむことができて一石二鳥、ではないかと。
もう1つは「原作者がいいと言っているのだから」とのフレーズ。ゲームの制作上何かを決定する場面で、伝家の宝刀のようにこの言葉が使われていたとしたら、それは非常に危険な気がします。ポポロの世界観については原作者である田森庸介先生がいらっしゃってのことですから一見この言葉については問題なさそうにに思われるのですが、もしこの言葉だけが一人歩きをしてしまい、田森先生のあずかり知らないところで使われてしまったとしたら、それは不本意な結果を招いてしまいかねないこととなり、その挙句に全ての責任が集中してしまうことになりかねません。この点について「それはいくらなんでも考えすぎ」「邪推ではないか」ということであれば、単なる自分の思い過ごしで片付けられるのですが・・・。
こうしたことから制作サイドとユーザーサイドとで思うところ考えるところが乖離してしまっているのではないか、と懸念を抱いた次第です。もちろん私達にもアンケートハガキという意見・要望を伝える手段がありますから、これをしっかりと活用していかなくてはなりませんね。願わくは今回書き連ねたことが杞憂でありますように!