2004年7月17日
ポポロクロイスの世界には月の掟の発動以後、2人の妖精王が存在します。ルナの母親である海の妖精王セレーネと、ナルシアの母親である森の妖精王メディア。2人の妖精王には等しく力が与えられていますから(海の妖精王が持つ「転生の法」の力は「石化の法」と姿を変えさせられてはいますが)、ナルシア王妃が石と化されてしまっていたあの時に、もしメディアが健在であったなら、森の神殿でセレーネが危険を冒してまで月の掟を発動させることはなく、あのような悲しいことは起きなかったかもしれません。もう一人の妖精王メディアの存否はどうなっているのでしょう?
ポポロ2の中でガープに重傷を負わされてしまったメディアは、心配そうに見守るピエトロに、息絶え絶えになりながらも次のことを告げます。「この城がある限り、私は大丈夫です」と。このセリフは一刻も早くピエトロ達を崩壊する妖精城から脱出させるためにメディアがあえて嘘をついていたのではないか、その後メディアは亡くなったのではないか、との見方がかつてありました。しかしポポロクロイスミュージアム2の中で書かれているとおり、「メディアは城ごと別の世界に隠れている」とのことですから、決して亡くなってしまったわけではなく、無事にその世界で時を過ごしています。これは嬉しいことではありますが、「ではなぜ別世界に隠れなくてはならないのだろう?」との新たな疑問が浮かんでくることとなります。ピエトロ達の活躍によってマイラから石版を取り返し、バルバランも封印できたのですから、その理由がすぐには見当たらないんですよね。
このことについては2つの理由があるそうです。1つにはユリウスが自らの姿を石に変えたように、また、古の勇者達が自らを封印したように、己の持つ力を闇に利用されないようにする必要があるからです。バルバランを復活させた女神マイラのように、闇の妖精王の復活を目論んで海の妖精王セレーネの体を乗っ取ったゼフィスのように、闇の意思は種族の長たる力を隙あらば狙ってくるのですから。そしてもう1つには自分の力を狙う闇の勢力がその手段として利用せんがために、実の娘であるナルシアを狙い、危険にさらしてしまう恐れがあったため、です。事実石版を狙うガープによってナルシアはモンスターに姿を変えられ、そして何よりも心を踏みにじられてしまう結果となってしまいました。
前者の理由もさることながらやはり後者の理由の方が強かったのでは、と推察します。ナルシアの身を守るため、たとえ同じ世界で暮らすことができなくても会うことができなくても、ナルシアさえ無事に、幸福に暮らしてさえくれればそれでいい、そう考えての苦渋の選択だったのではないでしょうか?それだけの決断ができたのはやはりピエトロがいたからなのでしょう。ピエトロに会い、「この人ならナルシアを守ってくれる、ナルシアを幸せにしてくれる」、そう確信したからこそ全てを託し、安心して別世界に姿を隠しているのでは、と思う次第です。これもまた1つの親の愛、この想いがいつか報われ再会を果たせることを強く願っています。