179 マッター将軍なぜ将軍?

2004年11月14日

 辞書を引くと、「将軍」の意味として、「軍を統率・指揮する長」と書かれています。国における軍は、その国の平和のみならず時には周辺諸国の危機には応援に駆けつけたりとまさしく国の要となる重要な組織です。軍の活躍そのものが国の存亡に関わることがあると言っても決して過言ではないでしょう。
さてさてパウロ国王時代にポポロクロイス王国で将軍の任に就いていたのはいわずと知れたマッター将軍。ことあるごとに「ワタクシ、戦いは苦手でありまして・・・」と話し、猟に出かけては獲物を狩る代わりに花を積み、夢幻魔王の世界に取り込まれた王国の調査に出かけては道に迷い、さらには妻や子供からも「もっとしっかりしてもらわないと」と呆れられる人物なんですよね。先に書いた将軍像からは贔屓目に見ても遠いです。それでも将軍職に就いているというのはそれなりの理由があってのことだと思われますので、マッター将軍を擁護するためにもその理由について探求していくことにいたしましょう。
物事には「攻め」の場面と「守り」の場面があります。「攻撃は最大の防御」とは言いますが、守りの備えなくして攻撃したのでは、もしもの時の被害は甚大となってしまいますから、どちらかが優位的に重要というものではなく、どちらも等しく重要なものです。しかし勇猛果敢で気勢に溢れる人物の方が人々の目に頼もしく映るのもまた事実、攻めよりも先に守りを主張するとどうしても臆病者とのそしりを受けかねません。でも誰かがそういう役を時には担わなくてはなりません。将軍の全員が全員、行け行けゴーゴーな人物になってしまったら誰もブレーキをかけてしまうことなどできなくなってしまうのですから。ということでマッター将軍はあのように頼りなさげに見えてしまいますが、まずは守ることに重点を置くことを主張するという、実は非常に損な役回りを受けつつ、必要不可欠な任務を背負っているのではないかなぁと思う次第です。もちろん性格的なものがあってのことだと思いますが。
とある作品の中にこのような言葉があります。

頑丈で鋭い剣だけがよい剣ではない。
ときには刃がこぼれ、すぐにも折れそうな剣が最良の名剣となることもある。
人の世も、かくあらん。

この言葉こそがまさにマッター将軍の将軍たる所以ではないか・・・と書いてしまったらさすがに賞賛しすぎでしょうか?
ことあるごとにピエトロ王子を放り出して逃げ出していたゴン&ドンがマッター将軍の後を継いでいるのはやはり相通じる部分があってのことかとも思えます。何か重大な決定事項をする際に「待った!」をかけるところにマッター将軍の名前の由来があるのかも?!