2005年2月11日
2月10日、ついに待望の「ポポロクロイス物語 ~ピエトロ王子の冒険~」が発売となりました。これはゲームと呼ぶものではなく、PSPの壮麗な液晶画面に映し出されるアニメーションムービーやピエトロ達の走り回る姿を見守りながら冒険を進め、物語を、すなわちポポロクロイスの世界の歴史を辿っていくという新しい時代の「絵本」と称するべきものかもしれません。「氷の魔王編」「闇の獅子王編」「女神マイラ編」の3つの物語に分けて語られるピエトロ王子の一大冒険譚をじっくりと時間をかけて進めていきたいところです。
さて、今作はPS版3部作をそのまま移植したものではなく、リメイクした内容となっており、これに伴って内容が大きく変化を見せているところがあります。中には獅子王としてのパウロ国王の評判、より踏み込んで語られるブリオニアの歴史などこれまでに描かれていなかった内容が含まれていて、ポポロクロイスの世界を考えるに当たって、非常に示唆に富んだ内容となっています。一番最初に感じる大きな変化は、ガミガミ魔王による知恵の王冠強奪の部分がなくなっていること、ですがこの点だけでもイロイロと考えることができますので、今回のテーマはここに焦点を当てます。
なぜこの部分がなくなったのだろう?思いを馳せてみると、すぐに1つの可能性に行き当たりました。その可能性とは、ポポロのファーストTVアニメーション。ファーストアニメの第10話「知恵くらべ」において、ガミガミ魔王とパウロはこの「知恵の王冠」を巡って戦いを繰り広げることになります。このお話については既にポポロ広場の「32.ゲームとアニメの差異」で少し触れているのですが、放映当時に「なんで一度知恵の王冠を奪ったガミガミ魔王がまた王冠を狙うのだろう?」と意見の分かれるところとなりました。
もちろんガミガミ魔王の夢は「巨大ロボットを作ること」と「世界征服」(後に言わずと知れたもう1つの夢が増えます)、最初の襲撃で王冠を奪った時に巨大ロボットの夢を実現(初代のガミガミ魔王ロボは巨大とは呼べないにしても、巨大ロボを作るに当たっての礎となったということで)していますが、もう1つの「世界征服」の夢を実現する前にピエトロに取り返されてしまいました。ですから再度知恵の王冠を奪いに来たところでガミガミ魔王の行動理論的には特におかしなところはないのですが、そういう声があったのもまた事実です。そこでファーストアニメとのつながりを考えて、あえて今回知恵の王冠についてのエピソードをなくしたのではないか、とこう考えられるわけなんですよね。
もっともこれはこれで、
「じゃあなんで知恵の王冠を手に入れる前のガミガミ魔王がなんで第1話から登場するガミガミロボを発明することができたんだ?!」
との別の疑問が出てくることにもなります。事実、「ピエトロ王子の冒険」の中において、ガミガミ魔王城で最初にガミガミ魔王と戦う時、そこには「ガミガミ魔王ロボ」は登場せず、「ガミガミアーマー」というデフロボを拡張したようなメカと戦うことになります。この時まだガミガミ魔王は知恵の王冠を手にしていないわけですから「ガミガミ魔王ロボ」が存在しないのはうなずける話です。その後ガミガミ魔王はピエトロ達を助けるべく単身ブリオニアに乗り込むこととなり、ここで数多くのレムリア文明の遺産を目の当たりにし、図書館で本を読むことによって、巨大ロボットを作るための知識を手に入れた、と考えれば、先程の疑問に対する答えが自ずと導き出されます。
単に「あれがない、この部分が違う」と思うのではなく、その理由に思いを馳せてみるとイロイロな可能性が見えてきますから、これも今作における1つの楽しみ方ではないかと思います。